2020年01月16日 17:05
アウトリガーニンフ・テクニック(解説)
【アウトリガーニンフ・テクニック】
アウトリガー・テクニックは、川底近くにいるマスにニンフを流す方法です。川底は、水生昆虫の幼虫がその一生の大部分をすごし、マスが採餌活動のほとんどを行う層です。
① キャストの方法
アウトリガー式ニンフ・フィッシングの最大の欠点は、うまく投げるには相当の気づかいが必要だ、という点です。キャスティングの基礎は他の場合と同じですが、ドライフライではごく当たり前の、歯切れの良い、優雅な、自由で気持ちの良いフォール・キャストは、この場合は通用しません。
アウトリガー・テクニックでは、多少にかかわらず、フライ・リーダー系にオモリをつけるため、意識的にする無理強いのキャストにならざるをえないのです。
ショットを付けたキャストは、ドライフライの場合よりも失敗が許されません。
余分な重量を投げ、重力の作用に先んじて、それをターン・オーバーさせるには、普通以上のパワーが必要になります。パワー・ストロークの後には、オモリとラインとリーダーとが背後に伸びきるまで、十分に待ってやらなければなりません。
いつもの調子で、すばやく、シャープに、タイト・ループのドライフライ・キャストをやってしまうと、災厄がふりかかって、いままで経験したこともないような、複雑きわまるウィンド・ノットと時を過ごさなければならない羽目に陥ってしまいます。
重い仕掛けをキャストするには、出来るだけスムーズに、どこにもぎくしゃくしたり、跳ねかえったりするところのないよう、十分に注意しなければなりません。
タイト・ループのドライフライ・キャストはあきらめて、ループ幅を広くし、決してループの上下が接触事故を起こすことのないようにキャストするのです。
フォール・キャストは出来るだけ回数を少なくします。フライを必要以上に乾かさず、着水と同時に沈む方が良いからです。それに、回数が多くなるほど、リーダーが絡まる可能性も高くなります。
たいていの川の場合、アウトリガー・テクニックには、普通の斜め上流へのキャストで十分です。プレゼンテーションは、まっすぐ上流から自分の真正面に至る範囲に行いますが、斜め上流に振り込むというのが、最も普通の方法でしょう。
※アウトリガー・キャスト等はYouTube参照・・・かわせみYouTube
このニンフ・フィッシングに必要なデット・ドリフト(流れのままに流すこと)には、決してラインのドラッグがあってはならないので、キャストにドラッグを防ぐための、いわゆるリーチ・キャストを組み込んでフライを投げます。この変則キャストは、ニンフの落下地点よりも、自分との中間域の水流の方が速い場合に採用するドラッグ解決法です。
こうしたところで、まっすぐにラインを落としたのでは、流速によってラインはすぐに下流へ腹を出してしまいます。すると、フライにはたちまちドラッグが生じて、マスのヒットは望むべくもありません。これを避けるために、上流側にラインの弧をつくって着水させるのです。
こうすれば、少なくともラインの弧が再び下流側に移るまでのあいだ、デッド・ドリフトが確保されます。
そのやり方はこうです。プレゼンテーション・キャストでラインがガイドを滑りでて、目標に向かうとき、ロッド・ハンドと竿先を可能の限り上流にさし出すとともに、竿先を少し上流にスナップさせて、さらに明確に上流へのカーブをつくります。さてこれで、キャスターとフライの間のラインは、フライよりも上流に着水します。
すべてのキャストは、リーチにしろ、ストレート・ラインにしろ、斜め上流あるいはまっすぐ上流にしろ、左手に持っていたラインを、ロッド・ハンドの人差し指に通した時点で完了します。
こうして、ラインをしっかりとロッドのグリップに握り込むことで、人差し指はラインを下流に流すあいだずっと、ラインのコントロール・センターになります。
このようにしてラインを押さえ込んでおけば、ほかのほとんどのフライ・フィッシングの場合と同じく、アウトリガー・テクニックにも必要な、ラインを張っておくという要点が確立されます。
② フライの流し方
(フライの深度)
ほとんどの場合、マスがニンフ(ナチュラル)を食べている水深まで、フライを沈めてやることが極めて大切です。
そのためには、ショット(おもり)の調整が必要となります。
北海道の河川の場合においては、最初に3Bを付けての釣り開始としております。
川の流れや深さに応じてショット(おもり)を増減しフライをマスの基本的な捕食範囲である川底へ届ける事が大事です。
アウトリガー・テクニックは、いろんな流れが錯綜している中の、小さなポイントを釣るポケット・フィッシングに最適な釣り方です。このような、ポケットといわれる魚の居つき場・餌つき場の大きさは、風呂桶から乗用車の大きさまでさまざまで、こうしたところでは、正確にキャストして、即座にラインをコントロールすることが絶対に必要です。
③ ライン・コントロール
(ラインのストリッピング)
プレゼンテーション・キャストがすんだら、ただちにラインをキャスティング・ハンドの人差し指で押さえ込むことが必要です。これは、ハンド・ツイストの方法ではとても間に合わないくらい速くラインが流れくだるとき、絶対に必要な手順です。
とても簡単で、ライン・コントロールを維持するには不可欠の方法です。川幅40フィートの流れで、60フィート斜め上流にキャストすると、フライが自分の真正面まで流下したとき、フライまでの距離はわずかに30フィートということになります。つまり、この間ずっとラインを張ってコントロールするには、30フィートのラインをストリッピングしなければならない、ということです。
ラインをロッド・ハンドの人差し指に押さえ込んでおけば、ストリッピングは空いている左手で行うことになります。
ラインを押さえている人差し指のすぐ下でラインをつかんで引きおろし、水面に落としておけばよいわけです。
(ラインのメンディング)
ストリッピングをしてラインを張るとともに、時には、水流の違いによって生じるラインの腹を取り除く必要がでてきます。よくあるケースは、フライが乗っている流れよりも、自分とフライの間の流れの方が速い場合です。ラインは速い流れのために、下流に弧を描き、そのためフライが引かれてみずからの流路をそれ、速い流れの中に引きずり込まれてしまいます。
これを解決するには、竿先を持ち上げて、水面からラインを動かすだけの力で、ラインを上流へフリップしてやります。これで、ラインが再び下流に腹をつくるまでの短い間、フライは自然に流れてくれます。
多くの川には水流が特に速いところがあります。そうしたところでは流しきるまでに、繰り返し何度もメンディングしなければならないものです。
下流のメンディングは、上流へのメンディングに比べるとそれほど頻繁に必要になるわけではありませんが、フライがのっている水流が手前より速く流れている場合、このメンディングが要求されます。
この場合、フライが下流に引きずられて不自然に速く流れるのではなく、むしろ中間の流れが遅いため、フライの流れが遅くなったり、押し止められたりするのです。いずれにしろ、フライの流れは不自然になって、魚の気に入ってはもらえません。これを解決するには、竿先を持ち上げて、今度は下流へメンディングして、ラインのベリーをフライより下側に置いてやります。
決して忘れてはならないことは、ラインを完全にコントロールして、フライを自然に流すということです。ストリッピングとメンディングとが、このコントロールの確立に大いに役立ちます。
④ ストライク
自然のエサにしろ模造のエサにしろ、マスがニンフを食べる動作は、あわてず、ゆったりとした動きです。ニンフを目にすると、頭を先に泳ぎよって、口を開け、そして閉じる、という動作です。
マスはニンフに激しく襲いかかったりしません。マスの収餌は、静かな、秩序だった出来事です。
フライへの当たりは、きわめてかすかなので、ラインの流下速度のわずかな変化に十分に注意していないと、容易に見過ごしてしまいます。
この釣りでは、フライは見えず、魚も見えず、ストライクがあってもインジケーターを付けない通常のシステムではあたりを取るのは難しいでしょう。しかし「かわせみ」におけるシステムではオレンジのインジケーターを4個付ける事で当たりを取る事が容易になります。
インジケーターのためらいを間違いなく探知するには、ラインは絶対に浮いていなければなりません。
シリコン系のライン・ドレッシングを十分にぬっておきます。
ラインはできるだけ明るい色にする必要があります。
メーカーがアイボリー&ピーチ&オレンジとかいってる色です。
浮きのよい、明るい色のフローティング・ラインを偏光グラスで注視すれば、インジケーターに生じる変化を最大限にキャッチすることができます。
いま仮に、上流に向かって30フィートのショート・キャストをしたとします。前に述べたキャスティングとフライの流し方の種々の注意事項をすべて動員しますが、どんな操作方法どんなテクニックを使うにしても、次の一点を決して忘れず、忠実に実行しなければなりません。
それは、マスのストライクによって生じる変化は極めて瞬時のことにすぎないから、フライが水の中にあるかぎり、全神経を集中してラインのインジケーターを注視する、ということです。
フライのためらいは微妙で、時にはあいまいで、しかも一瞬のうちに終わってしまいます。何かの理由でちょっと目を離すと、その間にストライクを見逃してしまうかもしれません。
キャストがうまくできて、ライン操作も完璧だったとしましょう。
流れ下るリーダーに付けたインジケーターを注視していると、これが一瞬、止まる! これこそが、すべての苦労の目的だったのです。
ストライクは手首のほんのひと跳ねで十分です。
たとえ根掛かりであってもラインのためらいはマスが原因だ、とそう信じて行動することが大事です。
決して、夢々、川底に引っ掛かったなどと思ってはいけません。
いつも、ラインのためらいがある度に、魚が来た! と考え、キャストのたびに魚を掛けるのだというつもりでなければなりません。
これこそ川における思考方法です。たとえ、釣れ具合が思わしくないときもそうです。
マスのストライクを感知して、合わせたのに、手応えがなければ、フライをそのまま流し続けます。1回の流しで、2回の当たりが来たことが度々あります。
2度目の当たりで魚が掛かる事もよくありました。1度目の当たりは、あるいは、石にでも掛かったのかもしれません。
最後にもうひとつ、ヒントをあげましょう。
フライを流し終わって、ラインをピックアップする前に、ひとつ空合わせをやってみることです。魚が掛かることがあります。
ドリフトの終わりに、ラインが下流に張って、フライが水面に上昇してくるとき、これにヒットするマスが時々あるからです。
こうして掛けた魚は、アウトリガー・テクニックの直接の報酬ではないけれども、このテクニックは時にこんなボーナスも支給してくれます。
⑤ ピックアップ
リーダーにオモリを重装備した仕掛けで、素敵なロール・ピックアップや大幅な方向変更キャストを試してしまうと、挫折と悪魔の結び目に絶望するばかりですが、練習次第では絶望から希望へが可能となります・・・「かわせみ」のガイドにお任せください。
ドリフトの終わりのピックアップは、慎重にやって、次の一連のフォールス・キャストに移行しなければなりません。
フライを流し終わると、ラインは水流に引かれて、下流に張ってきます。しかしここですぐにバックキャストをやってはいけません。致命的な間違いです。
ラインがもろに竿にぶつかってきたり、その災難は口にするのも嫌になります。
まず、フォールス・キャストの最初のストロークで、ラインを下流のこの位置から上流に投げておかなければなりません。これはごく当然のことで、こうしておけば、次のプレテーションに必要な方向変更は最少ですみます。
※以上を要約・・・・・諦めず、根気よく、粘り強く、しつこくやる。
アウトリガー・ニンフィングは決して易しくはありません。
このテクニックに熟達するまでには、幾度か挫折を味わうこともありましょう。でも、次の明らかな事実を決して忘れてはなりません。
それは、このテクニックによって、水生昆虫の水中時代を表現し、同時に、マスがその収餌活動のほとんどを行う水深を釣っている、という事実です。形勢は釣り手の方に優利です。これ以上の好条件はありません。
アウトリガーニンフを駆使して、Goodコンディションのトラウトをゲットされる事を祈っております。
※チャールズ・ファザギル氏の「上級者のニンフ・テクニック」著書より。
※お聞きしたい事がありましたらこちらから・・・かわせみHP